AGAの原因と対策

AGAの原因はヘアサイクルの乱れ？

男性が薄毛になる理由にはさまざまなものがありますが、なかでも多いのがAGA（男性型脱毛）です。医学的にもAGAの原因や治療法は解明されています。

とはいえ、その患者数は増加傾向にあるのが実情。生活習慣などの複雑な要因から引き起こされる症状ではありますが、その根本に関係するのは人間のヘアサイクルです。

ヘアサイクルは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つで構成されており、数年かけてこれらを一巡するという周期を繰り返しています。

このサイクルのなかでも、特に重要となるのが「成長期」で、正常なヘアサイクルでの「成長期」は2～6年の期間といわれています。

しっかりと時間をかけて成長することにより、太く強い毛髪を作るのです。しかし、AGAではこのヘアサイクルが乱れ、「成長期」が短くなることにより、抜け毛や薄毛などの症状が出現します。

AGAの原因ともいえるヘアサイクルの乱れは、男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）により引き起こされるものです。

DHTはテストステロンという男性ホルモンと、還元酵素である５α-リダクターゼが結合し生産されます。還元酵素とは酸化還元酵素のひとつであり、ホルモンと結合した際にその働きを抑制し、逆の作用を働かせる物質です。

テストステロンは本来、毛髪を増やし強くするホルモンですが、還元酵素である5α-リダクターゼと結合することにより本来の働きを失ってしまいます。
その結果、ヘアサイクルにおける成長期を短くし、十分に毛髪が成長できないまま薄毛などの症状を引き起こしてしまうのです。

ヘアサイクルが乱れる原因となっている習慣を知ることが大切

ただしヘアサイクルの乱れは、DHTだけが原因ではありません。生活習慣やストレス、喫煙などもヘアサイクルを乱すきっかけとなります。
抜け毛、薄毛の原因が明確になれば、その行動を改善することもできるでしょう。

最近ではAGA専門クリニックも増えており、こうした医療機関では個々の症状の原因を的確に見極めてくれるほか、改善に向けた治療も受けられます。
たとえ自分自身では思い当たる節がなくても、専門家によるカウンセリングや問診・診察を受けることにより、AGAの原因となっている習慣が明らかになるかもしれません。

2種類の薬剤が使用されるケースがほとんど

AGA治療には薬剤による「薬物療法」が選択される場合が多いです。
実際の治療に使用される薬剤において、基本となるのはAGAの原因となる男性ホルモン・DHTを作り出す5α-リダクターゼの抑止。そこで投与されるのがプロペシア、ザガーロです。

プロペシア、ザガーロは5α-リダクターゼの働きを抑えるとともに、5α-リダクターゼとテストステロンの結合を低下させて、DHTの産生を抑制する効果が期待できます。
AGAといえばこの2種類の薬剤が使用されるケースがほとんどです。

プロペシアとザガーロの違い

どちらも同じ5α-リダクターゼの働きを抑える薬剤ですが、その作用機序には違いがあります。
5α-リダクターゼは大きく、1型と2型の2種類。1型5α-リダクターゼは後頭部や側頭部に多く、2型5α-リダクターゼは前頭部や頭頂部に多く存在するといわれています。

プロペシアは特に2型5α-リダクターゼへ働きかける特徴を持っており、前頭部や頭頂部の薄毛、抜け毛に効果が期待できるでしょう。

ザガーロは1型5α-リダクターゼ、2型5α-リダクターゼの両方に有効な薬剤です。
比較的新しく、プロペシアの1.6倍もの症状改善効果が見られたという報告もされています。

もともとプロペシアは、前立腺肥大の治療薬として開発されたものでした。じつは前立腺肥大にもDHTは深く関係しており、プロペシアはDHTの産生を抑制する治療薬として使われていたのです。
その後、AGAとDHTの関係が研究の結果明確になり、プロペシアはAGAにも効果があることが判明。さらに研究は進み、1型、2型の両方に効果があるザガーロが開発されました。

プロペシアやザガーロとは違う働きかけでAGAの症状改善を促す薬剤に、ミノキシジルがあります。

ミノキシジルはDHTに関係なく、髪の育成と関わりの深い「毛母細胞」へ作用します。
その効果は頭皮の血管拡張、そして血流の促進。血流を促進することにより、栄養素や酸素を「毛母細胞」に運び、その働きを促進させる仕組みです。
このミキノシジルの働きと、プロペシアやザガーロの働きの両方でAGAの治療をおこなうこともあります。

AGA専門クリニックで適した処方を

AGAの症状は人それぞれに異なり、適した処方を受けるためにもAGA専門クリニックへの受診が必要です。薬剤を使って治療を受ける際は特に、副作用にも注意しなければなりません。

プロペシアやザガーロにおいては、肝機能障害、倦怠感、性欲減退、勃起不全などの副作用が報告されています。

薬剤の個人輸入などは考えず、これらの副作用にも十分注意したうえで治療を進められる、AGA専門クリニックや医療機関の受診を検討してみてください。

治療薬の使用はAGA専門クリニックの受診をおすすめします

AGAの治療薬として使用されているプロペシア、ザガーロ、ミノキシジルはその効果が医学的にも実証されている薬剤です。これらは厚生労働省でも、日本国内での処方や使用が認可されています。

厚生労働省が認可しているということは、その安全性も実証済みということ。
万が一副作用などの問題が起こった場合にも、医療機関などに対応してもらうことができます。

一方プロペシア、ザガーロ、ミノキシジルなどのAGAの治療薬は、AGA専門のクリニックや医療機関以外で入手することも可能です。
たとえばインターネットなどで個人輸入する方法などがあるでしょう。

現在、これらの薬剤を販売する国内の通販サイトはありません。2017年までは国内にも薬剤の通販サイトが存在しましたが、違法な薬物の販売、また安全性の面から取締りが強化され多くの通販サイトが検挙されました。

結果プロペシア、ザガーロ、ミノキシジルも同様に国内での販売は制限されているのです。
万が一国内の通販サイトで購入できたとしても違法な場合が多く、注意しなければなりません。

国内で購入できないとなると、その販売ルートは海外になります。
海外から薬剤を輸入購入すること自体に法律的な問題はありませんが、その成分や安全性は国内で販売されているプロペシア、ザガーロ、ミノキシジルとは大きく異なります。
薬品名は同じであっても、国内で処方される薬剤より効果が強すぎたり、弱かったりすることも。
何よりその薬剤自体、安全性が保証されません。

海外から薬剤を個人輸入すると、薬効や副作用については全て自己責任となってしまいます。
仮に副作用が現れたときに困ることはもちろん、AGAの症状が悪化してしまう可能性も考えられるのです。

AGAの治療を検討しているのであれば、自己判断での薬剤の使用は控え、専門家であるAGA専門クリニックや医療機関を受診することをおすすめします。

AGAの症状、原因は人それぞれです。まずはクリニックを受診し、症状や原因を明確にしたうえで専門家と一緒に治療を進めて行くことが、最も安全で効果的な方法と言えるでしょう。もちろん自己判断での薬剤の使用はAGAに限らず、非常に危険であるということを忘れてはいけません。